UAVレーザ測量で一番重要と思う事
『ドローン』と一般に浸透した固有名詞が誕生する数年前2013年に弊社はUAVを使った写真測量を導入しました。
あれから6年、モノすごい加速性でいまやドローンという固有名詞はおじいちゃんやおばあちゃん、そして子供たちにも浸透しました。
測量業界も黙っちゃいません、こんな便利で未来的なアイテムを使わないなんて
勿体ない。
今現在ではUAVレーザ測量は圧倒的な復元性や作業時間の短縮性で活躍が期待されており、また十二分に期待に応えれるアイテムだと思います。
ただ、UAVを導入すればだれでも手軽に測量ができる。
は・・・ちょっと違う。
そんなに測量業界をなめてもらっちゃ困る。何十年と測量技術者として活躍してきた測量士の方々に失礼だ。
この風潮ではUAV測量はドローンを導入したその日からバリバリ測量ができる。
となってしまう、これはこの業界人として『待った』を掛け一言モノ申す。
なんて事になっちゃう。かといって我々測量業に携わる人間にとっては異業種参入の危機感も持たなければならない。
使うアイテムとしては最高品ですが、測量学に基づいた、いかに高精度に理にかなった測量成果品を生産できるか、が最も重要。
機械に使われてはダメ、機械を自分たちの測量技術に生かす。
そんな中、弊社もUAVのレーザは導入して3年が経ちました。
昨年度の業務実績は110件(解析業務のみ、写真測量も含む)なんかと頑張って経験を積ませてもらってます。
表題にもなってますが、UAVレーザ測量で最も大事な事
全部の作業工程が重要で大事なんですが、その中でも私が思うに一番大事な作業が『作業計画』です。
UAVの軌跡はGNSSを受信し後処理でいわゆる連続キネマ解析を行います。
より正確に高精度に軌跡の緯度経度・楕円体高を計算します。GNSS基準点測量でも一緒ですが、衛星の配点状況(DOP値)が最良な時間帯を割り出す、です。
観測計画時に飛来予測等で一番最良な時間帯を割り出す。
GNSS測量の解析専用プログラムには観測計画を立てれるツールがあると思います。それを使うもヨシ
ただし、飛来予測は100%ではないので若干の信憑性に欠けます。
その時に最新のアルマナックの更新も忘れずに。
観測現場の最寄りの電子基準点観測データは国土地理院より入手できますで
そちらの近々の観測データを連続解析してDOPの動向を見定めて最適な観測時間を割り出す。って手法もあります。
弊社はGPSとGLONASSの併用で行ってます、なるべく新しく入ってくる衛星の入射時間及び出射時間の観測は避けるようにしてます。特にGLONASSは厄介なので細心の計画を行って損はないと思います。
今主流なのは、利便性を考えて固定局を設置しない、いわゆる仮想点です。
最寄りの電子基準点から自動生成してくれる優れもの。
地上測量で我々も利用してるVRSってやつです。VRSはリアルタイムなので
その場で初期化→初期化完了後→即観測、という超便利なアイテム。
RTKというものが先行して世に出回ったため、リアルタイムでは無い後処置キネマティック観測はほとんど利用してないと思います。
現場ではキネマの初期化から始まり共通衛星を確保しつつ最後のランディングまで終える、途中で衛星を故意に遮断しないよう心掛ける。
連続キネマ解析は、フォワードとリバースのコンビネーション解析を行いより正確な位置座標を算出しますので観測終了後の初期化も忘れずに。
例えが悪いかもしれませんが
地上測量でTSを基準点に据える→ 致心する→気泡間で水平軸を整える→測距する
測距部分の精度は100mで数ミリであっても、致心はできてない水平は保ててない状態から測距しても点間距離や水平角は誤差誤差だらけですよね。
UAVレーザも同じでレーザを照射した位置(緯度経度・楕円体高)の精度が悪いと、レーザの距離精度が100mで数ミリであっても
機体の姿勢(yaw/roll/pitch)がグダグダだと、精度悪いの当たり前ですよね。
コース間の段差調整なんて、いくら微調整してもコース間の段差は解消されません。
だから、照射した時の位置精度及び機体の姿勢精度がいかに高精度で安定したものであるかにかかってくる。
ゆえに衛星の配置状況の最良な時間帯に飛ばすが、いかに重要な事であるかに尽きる、と思います。